さあさあ夏休みも半分近く過ぎましたがみなさんいかがお過ごしですか？夏を満喫するのは良いですが、しっかりお勉強のほうもよろしくお願いしますね！！
今日もしっかり過去問解説していきまーす！！
１１２回 午前２２問
薬物の吸収速度が最も速いのはどれか
１．経口投与
２．筋肉内注射
３．静脈内注射
４．直腸内投与
さあさあどうでしょうか！答えが選べた人はこの選択肢を吸収速度が速い順番に並べなおすことはできますか？
答えは３．静脈内投与なのですが、他の投与経路がどれくらいの効果発現時間かおおよその目安は知っていますか？
薬物の投与方法
そもそも人に薬を投与したいと思った時に何種類の投与経路があるか知っていますか？
思いつくだけ書き出してみてください！！何種類書けたでしょうか。
注射薬
・静脈内投与
・筋肉注射
・皮下注射
・皮内注射（ツベルクリン反応検査など）
・髄腔内注射（医師が行う）
経口薬
・内服薬
・舌下錠
その他
・経直腸（座薬）
・経膣（膣錠）
・点眼
・点耳
・経鼻（噴霧する）
・塗布（塗り薬）
マニアックなものも並べましたがざっとこんなもんかな。言われてみればそんな投与経路もあるなあと思うものも多いのではないでしょうか。
吸収速度
投与経路を知ったところで、どの投与経路が速いのか、遅いのか。薬そのものの特性や個人差といった影響も大きいので、一概には言えないのですが、基本的に注射薬に関しては
静脈内投与＞筋肉注射＞皮下注射＞皮内注射
こうなります。これは薬の効果発現時間を狙ってあえて即効性を期待したり持続性を期待したりして投与経路を変えています。
例えば急変して命が危ない患者さんにすぐに血圧を上げる薬を投与したいって思ったら、筋肉注射ではなく静脈内注射をしたほうが即効性があるよね？
逆にインスリン製剤なんかはホルモン剤なので微量で絶大な効果を発揮するので、皮下に投与してゆっくりじわじわ効かせたほうが安全に効果的に使用できるよね？
こうやって投与経路を選んでいます。
新人看護師さんのためにちょっと話を脱線します。
救急救命の現場では瀕死の状態の患者さんが運ばれてきたりします。瀕死の状態と言うと・・・血圧が測れないくらい低かったり、大量に出血してて体の中の水分が全然無い状態だったり・・・。そんな患者さんの末梢確保できますか？これは上手下手とか経験とかのもんだいでなく、できないものはできないのです。末梢の血管が締まりまくっててルート確保なんてできたもんではない。できるかもしれないけど、血管を探すのに時間をかけてたら、そのうちに患者さんは死んでしまう。そんなときには瀕死の状態から早く脱出できるようにあえて筋肉注射を打ったりします。筋肉注射ならすぐに打てるからね。昇圧剤（血圧を上げる薬）なんかはとにかく早く投与したいからルート確保をしている間に反対側の腕に筋肉注射で打っちゃうなんてこともあるんです。覚えておくと良いよ！！
注射薬以外でも効果発現時間が速いものがあります。
吸入薬なんかは比較的効果は即効だよね。喘息発作が出てて吸入したらすぐに楽になってきたみたいなシーンは見たことがあるのでは？
これは炎症を起こしている気管支にダイレクトに薬剤が届くので効果発現時間が速いです。
狭心症発作を起こした人が首から薬の入っているケースを取り出して口の中に入れたらしばらくして落ち着いたみたいなシーンも見たことがあるのでは。これは内服薬と違って舌下錠といって舌の下で薬を溶かす方法です。この方法は舌の下にある毛細血管から薬を直接吸収させて血管内に取り込むという方法をとっているので、静脈内注射並みに効果発現時間が速いです。
同じように毛細血管から薬を直接吸収させる方法として座薬があります。肛門に薬を挿入することで、肛門周囲の毛細血管から薬を直接血管内に取り込むので座薬も効果発現時間は速いほうです。
逆に効果が発現するのに時間がかかるのが内服薬です。なぜかというと、口の中から入った薬は胃で消化されて小腸へたどりつく。この時点で結構時間はかかっている。小腸で消化されて小腸の毛細血管から血管内に吸収されて、肝臓を通って全身をめぐることになるので、結構時間がかかるし、肝臓で代謝される分も考えると、全身をめぐることができる薬はごくわずかと言えます。
（今さらさら～と小腸から肝臓への代謝について書いたけど、？？？の人もいるかな？そんな人のために！！薬物の代謝経路について書いてます！？？？の人はこれも読んでみてね！）
まとめ
薬物の吸収速度についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
我ながらなかなか役に立つ回になったのではないかと思ってますがどうでしょう！
薬の作用発現速度は国家試験でもちょいちょい出題されている問題だし、何より現場に出てからとっても大事な知識です！しっかり頭に入れておきましょう！！
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