敗血症の病態を実習中に目の当たりにすることはおそらく無いと思います。ですが、この敗血症という病態は臨床でよく目の当たりにしますし、敗血症性ショックと言ってショック状態に陥ることもあるかなり注意して観察すべき病態なのです！！
過去に国家試験にも出題されているので、国家試験の過去問解説をしつつ、敗血症についてより知識を深めていけれればと思います。最期までお付き合いくださいね！！
１１０回 午前２８問
成人の敗血症について正しいのはどれか。
１．徐脈になる
２．高血圧となる
３．血管透過性が低下する
４．全身炎症性反応を認める
どうでしょうか。答えは４なのですが、正しいものを選べましたか？
この問題を解くために大事なのは敗血症についての理解です。
敗血症の病態、敗血症性ショック、血管透過性って何？と言うことについて順に解説していきたいと思います。
敗血症とは
敗血症とは体に侵入した細菌が血管内にまで侵入し、血流にのって全身をめぐることで重篤な臓器障害が起こされた状態のことです。敗血症の診断が遅れたり、効果的な治療が行われないと、敗血症性ショックと言ってショック状態に陥ることもあります。
誰でも敗血症に陥るかと言うとそうではなく、抗がん剤治療や放射線治療、骨髄移植、免疫療法などの免疫力が低下する治療を行っている患者さんによくみられる病態です。
敗血症性ショックと看護
敗血症に陥る前に適切な抗生物質の投与ができれば、敗血症性ショックに陥るリスクは格段に減ります。なので、看護のポイントとしては感染兆候の早期発見ができるかどうかにかかっています。では感染兆候とは何か・・・発熱、頻脈、頭痛、倦怠感、悪寒、頻呼吸、顔色不良といったところでしょうか。中心静脈カテーテルなどの挿入物が入っている患者さんでは、その刺入部に発赤や腫脹、疼痛などの感染兆候が見られないかも合わせて観察します。
感染兆候が確認されたら、すぐに血液培養を行います。これは血液を採取して薬液の入った瓶の中で微生物を培養させ、どんな細菌が血液に侵入したのか調べるものです。この結果をもとに抗生剤を選択しますが、培養には時間がかかるので、より広い様々な細菌類に効果のある抗生物質の投与を培養結果が出る前に開始します。ここで大事なのが、血液培養を行ってから抗生剤を投与開始するということ！！！血液培養を行う前に抗生剤を投与してしまっては、原因菌が分からないままになってしまいますもんね！新人看護師さんはこのあたり大切ですよ！
抗生剤を投与開始してもまだ気を緩めてはいけません。その抗生剤が原因菌に必ず効くとは限らないので、敗血症性ショックのリスクはまだ残っているのです！！では次に何に注意をすればよいか。ショック状態とはつまり循環不全です。なので循環動態に注意する必要があります。具体的には脈拍数もしくは心拍数、血圧、顔色、末端の温度などです。ショック状態に陥るということは血圧低下が起こるということです。血圧が下がるということは、全身に血液を循環させられなくなるので、人体はなんとか全身に血を巡らせようと心臓をバクバク動かします。つまり頻脈が起こります。血圧はいつも通りでも１２０回/分以上の頻脈がみられる場合は要注意です。もしかしたら敗血症性ショックになりかけているかもしれません。心臓がバクバクして血圧をなんとか保てていたとしても、末端まで血液を送る力が無いと顔色不良や末梢冷感などがみられるので、合わせて顔色や手足などの末端が冷たくなっていないかを観察して医師に報告できると良いですね！！
血管透過性とは
正常な血管と組織の間では、水分やNaなどのミネラル、糖などが行ったり来たりしています。しかしこれはホルモンの影響やホメオスタシスを維持するために体にとって適切な濃度を保つことを前提に行ったり来たりしています。そしてタンパク質などの大きな物質は血管の外へ出ていくことはできません。しかし悪性腫瘍や全身炎症性疾患（敗血症など）の患者さんでは血管の透過性が亢進して必要以上に水分を血管外に出してしまったり、タンパク質も血管の外に出してしまったりする。
つまり敗血症に至った患者さんは血管の透過性が亢進しているので、末端では浮腫、肺では肺水腫、腹部では腹水など血管の外に水分を貯めてしまう傾向にあります。特に注意すべきは肺水腫で、呼吸状態の観察をし、適切な酸素療法を行う必要があります。
まとめ
最期まで読んでいただきありがとうございます。ここまでこれば過去問の回答にも納得してもらえるかと思います。敗血症性ショックは臨床でも遭遇する機会のある病態だと思うのでしっかりおさえておきましょう！
感染症について興味のある方は過去にこんな記事を書いています！！ぜひ一度読んでみてください！！
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