なんだかややこしいなあという印象のタイトルですが・・・
これは私たちにとってとっても身近なお話!!
風邪をひいたことが無い人っていないでしょ?!
そもそも風邪って何なのか正しく説明できる人はいますか??
今日はそんな風邪ってなんだろうから感染症治療のお話までしてみたいと思います。
とっても興味深いのでぜひぜひ最後まで読んでいってくださいね!!
風邪とは
風邪とは正しくは風邪症候群と言います。ウイルスが鼻やのどに侵入して咳や鼻水などの症状を引き起こした状態のことを言います。
「そんくらいわかるし」
という声が聞こえてきそうですが、咳、鼻水の症状があればすべて風邪と表現することは間違っています。
「???」
急性咽頭炎・副鼻腔炎・急性気管支炎など〇〇炎のように表現されるこれらは「病名」です。対して風邪症候群は病名ではありません。
急性咽頭炎でも咳や鼻水の症状はありますが、急性咽頭炎と診断されたのであれば、これは風邪ではなく急性咽頭炎なんです!!
ちょっとよくわからないですよね。もう少し深堀していきます。
微生物とは
私たちは脊椎動物の中の哺乳類に属しているヒトですよね。人類史なんてものは地球の誕生からしたらここ最近のことであり、たかだか数千年くらいの歴史しかありません。
地球が誕生したのが46億年前ですが・・・最初に誕生した生き物は何でしょうか。
ウイルスです!
ウイルスは人類が誕生するずっとずっとずーっと前から何億年にもわたって生きているんです!(詳しい人からするとウイルスを生物として表現するのは微妙かもですが)
新型コロナウイルスが世界的に蔓延したときに、みんなが「新型コロナを撲滅せよ」という表現をしていましたが、人間がウイルスを撲滅するだなんておこがましい話なのです。
人間、その他さまざまな生き物は何世代にもわたってウイルスと共生してきたのです。
スケールの大きい話になってきてしまいましたが、このウイルスという存在と近いのが細菌や真菌や寄生虫といったものたちではないでしょうか。
微生物とはこの寄生虫・細菌・真菌・ウイルスのことを言います。
同じようなものの気がしますが、これら微生物は体の構造が全く違っている別の生き物です。そして何世代にもわたって人間などの生き物とともに共生してきました。
微生物が人間の体内に入ればなんらかの感染症を発症することになります。人間には免疫という防御機構が備わっているので、ある程度この微生物を自力でやっつけることはできます。しかしやはり自力で微生物と戦える人ばかりではありません。戦いに敗れて命を落とす人もいます。
そこで人類は「薬」というものを開発しました。
この薬が大事なのですが、万病に効く特効薬などは存在しません。それぞれ敵(病気)を見極めて適切に薬を使う必要があります。この微生物たちにもそれぞれ対応する薬があるのです!
寄生虫→特定の寄生虫のみ薬剤あり
細菌→抗生物質
真菌→抗真菌薬
ウイルス→特定のウイルスにのみ抗ウイルス薬がある
なんとなく分かってきましたか?
発熱などの症状が出ていると、すぐに抗生物質を欲しがる患者さんがよくいます。しかしこれはとっても安易な考えなのです。その症状がどの微生物によるものなのかを見極めて、投薬治療をするというのが王道です!!
ちなみに日本においては風邪を含めた感染症の原因微生物のほとんどはウイルスによるものです。ウイルスと簡単に言いますが、人間は地球上に存在するごく一部のウイルスしか把握していません。そしてウイルス性疾患の治療薬に至ってはごく限られたものしかありません。現にこれだけ世界を震撼させた新型コロナウイルスの治療薬も普及しているとまでは言えない状況ですもんね。なぜならウイルス性疾患は人間の免疫で戦えるものがほとんどであり、裏を返せば、自分の免疫でやっつけなければいけない相手だからです。一部ヘルペスやインフルエンザといったウイルスに効く特効薬はありますが、ウイルスに対しては人間の自然免疫で戦うのが基本です。
細菌感染症
ウイルスに対しては人間の自然免疫で戦う必要があると書きましたが、では細菌感染症はどうでしょうか。溶連菌やブドウ球菌などの細菌感染症治療には抗生物質という特効薬があります。抗生物質にもたくさんの種類があり、細菌の種類や炎症を起こしている場所によって使うものは変わってきます。ではなぜ細菌感染症には抗生物質を投与する必要があるのでしょうか。それは発症すると命の危険もありうる敗血症という病態を起こす可能性があるからです。この敗血症という状態を回避するために抗生物質の投与というのは重要です。詳しくはここでは割愛しますが、敗血症とは細菌が血管に侵入し全身をめぐる状態のことを言います。
ではウイルス感染症と細菌感染症をどう見分けるのでしょうか。
それは膿が出ているかと採血項目のCRPが上昇しているかで判断することができます!!
急性咽頭炎と診断するためには咽頭周辺に黄色~白っぽい膿が付着しているかを目視で確認できますね。細菌性肺炎など目視で膿の付着を確認できない場合には採血をしてCRPの上昇が認められれば細菌感染症だと診断することができます。判断材料はこの2つだけではなく、症状の経過など様々複合的に観察して最終的に医師が抗生物質は必要なのか判断することになります。
どうですか?熱が出て咳が出るから抗生物質を出してくれ!!というのが間違いだというのがわかってもらえましたか?
ちょっとマニアックな感染症
ここまでの説明でウイルス感染症と細菌感染症については熱く語りましたが、寄生虫と真菌感染症についてはあまり触れてこなかったですね・・・。それだけ頻度が少ないということでもあります。ですが、割と身近な聞き覚えのあるもので真菌感染症と寄生虫疾患があるんですよ!
まず真菌感染症の代表はやっぱり水虫じゃないですかね!正式名称は白癬菌感染症!!
これは白癬菌というカビの一種が人間の皮膚に侵入することで発症します。真菌感染症には抗真菌薬があるので、それを使って治療します。病変部の皮膚を少し削って顕微鏡でウニョウニョしている白癬菌を見つけられれば診断確定です!
寄生虫代表はアニサキスじゃないでしょうか!!有名人なんかが体験談を語ったりするあの胃の激痛に耐えなければならないあれですね。残念ながらアニサキスを死滅させる薬剤は無いので、アニサキスが胃にいれば、胃カメラを挿入して一匹ずつ取るということをしますし、アニサキスが小腸まで進んでいってしまうと、残念ながら便として排泄されるのを待つしかないという地獄のような感染症です。
治療薬のある寄生虫代表として疥癬があります。介護施設などで集団感染が問題になる、全身の掻痒感と皮膚病変の起こるあの病気ですね。これはフェノトリンという塗り薬とイベルメクチンという飲み薬で治療ができます。
まとめ
微生物と感染症治療について熱く語りましたが、ふむふむと納得していただけましたか??
ここをきちんと理解しておくと、臨床に出てから医師の言っていることが理解できて楽しいですよ!!!しっかり押さえておいてくださいね!
過去に白血球や免疫グロブリンについて説明している記事があります!
この過去記事も併せて読んでいただけると理解が深まると思うので、ぜひご一読くださいね!
質問、ご意見、なんでもどうぞ!!mailto:caipingye60@gmail.comまでお気軽に連絡くださいね!待っています!!
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