今回は新人看護師さんにも役立てる内容です!
医療用麻薬と聞いてどんなイメージを持つでしょうか。新人看護師さんにとっては、漠然と扱うのが怖いなとか、不安に感じることもあるかもしれませんね。看護学生さんが医療用麻薬に触れることはまず無いと思いますが、国家試験にはばっちり出題されます!それだけ臨床に出てからも必要な知識だからです。医療用麻薬=ターミナル期というイメージを持つかもしれませんが、手術治療中に使われるので、外科領域でも必要な知識ですし、がん闘病中の患者さんが疼痛コントロールのために医療用麻薬の張り薬を貼っていることも多いので、外来勤務をしていても触れる機会はあるでしょう。そんな看護師にとって身近な存在の医療用麻薬について正しい知識を得てもらえたらと思います。
医療用麻薬の投与経路による分類
医療用麻薬は投与経路によって3種類に分類されます。
・内服薬(塩酸モルヒネ錠やリン酸コデインなど)
・貼付薬(フェントステープなど)
・注射薬(フェンタニル注やプレぺノン注など)
医療用麻薬の作用と副作用
医療用麻薬と聞くと、すぐに疼痛コントロールと浮かぶ人が多いのではないでしょうか。ですが、医療用麻薬は鎮痛作用だけではなく、鎮咳作用(咳を止める)のあるものもあります。上段の内服薬の例に出したリン酸コデインがそれにあたります。話が少し脱線しますが・・・私は成人してから全身麻酔を2回受けているので、フェンタニルを投与された経験があります!!(何の自慢にもならんけど)そして別件でリン酸コデインを処方され内服した経験があります!!そしてその効果がすごい!夜も眠れないほどのひどい咳だったのに、ピタリと咳がおさまりました!!もうびっくり!その代わりに眠気と軽い吐き気のような副作用があり、働きながら内服できる薬ではないなと思い、服用を続けられなかったのですが、その威力は十分体感することができました!!
この話から分かるように、医療用麻薬には強力な作用と程度は人それぞれですが、副作用が必ずあります。医療用麻薬に限らず、薬には必ず作用と副作用があるので、その知識をつけると患者さんのアセスメントをするときに大いに役立つと思います!!
過去問解説
第112回午後16問
モルヒネの副作用はどれか
1.出血
2.難聴
3.便秘
4.骨髄抑制
国家試験ではこのように出題されます。知識として知っていれば、3とすぐに解答できると思いますが、それだけではもったいない!!これを深堀してなんぼです!そして16問ということはこれ、必修問題ですね!!必ず知っていてほしい知識だということです!!
まずモルヒネと聞いて医療用麻薬だなと分かれば十分です。医療用麻薬について一般的な副作用を問われています。医療用麻薬の一般的な副作用と聞いて・・・
・便秘
・悪心、嘔吐
・眠気
・昏睡
・呼吸抑制
これが浮かべば十分!でもただ暗記するではつまらないので・・・
新人看護師さんはここからが大事だよ!
がん性疼痛に苦しんでいる患者さんに医療用麻薬を導入することになりました。観察すべき項目は何でしょう?と先輩に聞かれて答えられますか?
過去問の答えにあったように医療用麻薬開始時にみられる副作用の代表例は便秘です。たかが便秘と思ってはいけません。対応が遅れると1週間排便が無く、便秘による不快症状が出てくるなんてこともありえます。なので医療用麻薬の開始と下剤はセットと考えて良いです!それくらい便秘になります。何なら、難治性の下痢症に対して腹痛はそこまでひどくなくとも、医療用麻薬の副作用の便秘を逆手にとって医療用麻薬を開始するなんて事例も多々あるくらい便秘の副作用は強力です。一般的に鎮痛目的でモルヒネを導入したとして、期待する鎮痛効果が見られる量の1/4の量で便秘症を発症すると言われています。いいですか!!医療用麻薬と下剤はセットですからね!!(手術中に使用するなど短期的使用の場合は別と考えてくださいね)そして便秘ということは腸管の動きが弱くなるということですよね!なので、悪心、嘔吐の症状が出てくるというのもなんとなく想像ができると思います。眠気については、やはり医療用麻薬の特性でもあります。脳に働きかけて痛みを取るものになるので、どうしても眠気などの症状は出やすいと考えられます。私もこれは実感しました。この悪心や眠気ですが、私の経験上、医療用麻薬を開始した患者さんの半数程度は程度に差はあれど自覚される副作用です。ですが、医療用麻薬に対する耐性ができてくるので、数日程度で感じなくなる方がほとんどでした。そして昏睡ですが、これも副作用として紹介しましたが、この作用をねらって医療用麻薬を使用することもあります。ガン末期の患者さんにとって、耐えられないほどの苦痛がある場合、医療用麻薬で疼痛コントロールをはかりつつ、意識レベルを少しだけ落として傾眠傾向の状態にすることで苦痛の緩和を図るという手段を取ることがあります。この使い方についてはまた別の機会に説明したいなと思います。かなり長くなってしまうので・・・。なぜ副作用として昏睡を紹介したかというと、ターミナル期ではない患者さんの疼痛コントロールで医療用麻薬を使用している患者さんに傾眠傾向や意識レベルの低下がみられた場合には、すぐに医師に報告し、適切な対処が必要だからです。でないと最後に紹介した呼吸抑制から命に関わる恐ろしい事態が起きかねません。そして適切な対処と表現したのは、意識レベルの低下がみられたからと言って勝手に投与を中止してよいものでは無いからです!医療用麻薬は増量するときも減量するときも段階的に行わなければならないくらい慎重に扱う必要があります。この辺りも別の機会に詳しくお話しできればと思います。
ということで、医療用麻薬の作用と副作用についてお話ししました。
思った以上にボリューミーな回になってしまいました・・・が伝えたいことの半分も伝えられていないです!!今回はここまでとしますが、これを読んだだけでは疑問は解消されていないですよね・・・なので近日中に医療用麻薬についての記事をアップしますね!なので今回は医療用麻薬①とさせていただきました!!また次回もお楽しみに!!
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