毎日暑いですね~!!この時期はまだ余裕があります。なんたって国家試験までまだ半年あるから!!季節が進んで寒くなってくると焦ってくるからね~今のうちにやれることはやっておきましょう!
今日も過去問解説です!
106回 午後38問
合併症のない全身状態が良好な患者に対して、全身麻酔のための気管挿管を行い、用手喚気をしたところ、左胸郭の挙上が不良であった。原因として考えられるのはどれか。
1.無気肺
2.食道挿管
3.片肺挿管
4.換気量不足
どうでしょう!よく考えてみれば解ける問題だと思いますが、臨床に出てから働く部署によってはとても大事な知識です。そして即座の判断を求められる状況です。しっかり知識として身につけておきましょう。
ちなみに答えは3.片肺挿管です。
挿管とは
そもそも挿管とはどんなことを言うか知っているでしょうか。
全身麻酔をかけるときや呼吸状態が非常に悪いときに、薬を使って鎮静(意識の無い状態にする)して気道に管を入れることを言います。なぜそんな処置が必要かと言うと、全身麻酔で手術をする場合、麻酔の効果で筋肉が弛緩します。つまり自発呼吸ができなくなるということです。そのため、手術が終わり麻酔から覚めるまでなんとかして肺に酸素を送り届ける必要があります。これが挿管です。気道より少し細い管を気道に挿入して人工呼吸器やバックバルブマスクに接続することで、酸素を肺に送り届けることができます。
気管と食道の解剖
ここでポイントとなるのが気管と食道の解剖です!
食べ物を口の中に入れてもぐもぐしてごっくんすると、食べ物が行く先は胃ですよね?!
では大きく深呼吸した空気が行く先は・・・肺ですよね?!
同じ口を通ってどこで行き先が変わったのでしょう!!
この図で言う咽頭と喉頭がポイントです!
咽頭→食べ物と空気両方の通り道
喉頭→空気の通り道
この違い分かりますか?
つまり挿管するということは口の中から咽頭を通って喉頭に向かい気管まで管を挿入することを言います!!
挿管時の確認事項
よく似た医療行為で胃管チューブの挿入がありますよね?!あれは咽頭の所までチューブを挿入したら、患者さんに嚥下を促し、食道の方にチューブが入るようにします。
挿管の難しさは気管に必ず管を入れなければならないというところです。
図から分かるように咽頭から食道へ行くか、喉頭へ行くかは紙一重なんですよ!!なので挿管する時には必ず気管に管が入っているかの確認が非常に大事になります。
確認する方法は単純です。
・聴診器で両肺の呼吸音を確認する
・胸郭が左右ともに挙上しているか確認する
この2つが確認できなかった場合何が考えられるか
・食道挿管
これは命に関わるので絶対に早く見つけなければいけません。気管チューブが本来、気管に入るはずのところ、食道に入れてしまったというケースです。見た目にはチューブが入っているように見えますが、管の先が食道では肺に酸素が送れません。食道挿管したことにいち早く気づいてすぐに挿管し直せば命には関わりません。食道挿管した場合はどんな所見がみられるか。まず両肺の聴診をしても当然ながら呼吸音は確認できません。そして胃に空気を送り込んでしまっているので胸郭の挙上はみられません。それどころか発見が遅れると腹部全体がぼってり膨れ上がってきます。当然ですよね。胃に空気を送り込んでいるのだから。
・片肺挿管
問題の答えでもあるのですが、片肺挿管というのはどんな状態のことを言うのか。
肺の解剖を載せました。気管チューブの先は気管になければいけません。気管チューブを奥に押し込みすぎて気管支まで挿入してしまったとしたら・・・どうなるか想像できますか?そうです。片方にしか酸素が送れないのです。この場合、挿入してしまった気管支側の呼吸音は確認できますが、挿入していない側の胸部聴診を行っても、もちろん呼吸音は聞こえませんよね。そして問題文にある通り、気管チューブが挿入されている側の胸郭だけ挙上がみられ、反対側はうんともすんとも言わないのです。この場合、片方の肺へは酸素が送れているので、すぐに命に関わることはありませんが、このままの状態では酸素が送れていない方の肺へのダメージが大きいので、やはりすぐに気管チューブを正しい位置に直す必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。挿管の知識だけでなく、肺の解剖生理までおさらいできましたね。やはり解剖生理の知識は大事です!問題を解けた人も挿管に関する知識だけでなく、肺の解剖生理についてもおさらいができると良いですね。
にしても今回もボリューミーな内容になってしまいました・・・。ちょっともうお腹いっぱいですか?!
でも問題を深堀していくととても学びが多いです。頑張りましょう!!!
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