今回も新人看護師さん向けの内容になりますが、看護学生のみんさんにもぜひ知っておいて欲しい内容なのでぜひ読んでくださいね。
前回医療用麻薬について一般的なことをお話ししました。まだ読んでいない方は↓↓↓
医療用麻薬①の続きの前に知っておいてほしいこと!!
疼痛コントロールについてです。私は血液腫瘍内科で勤務していたので、急性期の疼痛コントロールも行っていましたが、終末期の方へのがん性疼痛のコントロールをする機会のほうが多かったので、その経験から疼痛コントロールについて伝えれればと思います。
鎮痛薬の種類
鎮痛薬について勉強しているとNSAIDsというワードにたどり着くと思います。
NSAIDsとは非ステロイド性抗炎症薬のことで抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬の総称です。以下にあげる鎮痛薬の中で赤色のものがNSAIDsに含まれるものです。
・アセトアミノフェン(内服・注射)
・カロナール(内服)
・アンヒバ(座薬)
・ロキソニン(内服)
・ロピオン(注射)
・アスピリン(内服)
・ボルタレン(座薬)
・ソセゴン(内服・注射)
・ポンタール(内服)
一般的な病棟で使われている鎮痛薬はこれくらいかなと思います。
そういえば余談ですが私が就職したころはアセトアミノフェンは内服薬しかありませんでした!何年目かな~アセトアミノフェンの注射薬ができてね!それはもう重宝したんです!!だって痛くて熱があってしんどいよっていう人に、起き上がって薬を飲んでねって言えないじゃん!そんな時に、寝てていいよ~点滴で解熱剤入れるから~って言ってあげられるのがもうたまらなく良かった!!(補足ですが・・・血液腫瘍内科に入院している方はほぼ全員持続点滴をしているので、解熱剤を使うために針をわざわざ刺すことはしなくて良かったです。)
WHOの三段階除痛ラダー
ここは看護師国家試験でもたまに取り上げられてるので学生さんは必見です!
軽度の痛み :非オピオイド系→アスピリン、アセトアミノフェン、ロキソニンなど
中等度の痛み:弱オピオイド系→リン酸コデインなど
強度の痛み :強オピオイド系→モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど
痛みに対する与薬は①非オピオイド系を用いて第2段階として②弱オピオイドを用いる。①②で不十分な場合に③強オピオイドを用いる。
とされています。
鎮痛薬の使い方
上記の除痛ラダーをふまえて終末期の患者さんの疼痛コントロールをどのようにするのか具体例でみていきましょう!
急性骨髄性白血病の終末期の患者さん。白血病の浸潤によると思われる全身の骨痛が出現してきた。定期内服している薬剤に鎮痛効果があるものは無い。ADLは自立しており内服も可能。
プラン→カロナール500mg2錠を4回/日定期内服にて疼痛コントロール開始
カロナール内服にて一時期は疼痛軽減してきたものの病勢悪化に伴い骨痛の増強があり、トイレへ行くのが少し億劫だと話すようになった。
プラン→カロナールの定期内服に加えロキソニン1錠を3回/日定期内服開始
ロキソニンとカロナールにて疼痛コントロールは良好だが、病勢悪化に伴いADLの低下がみられ、寝たきりの状態となる。内服は可能だが、内服のために状態を起こすことが苦痛になってきている。
プラン→定期内服しているカロナール錠をアセトアミノフェン注へ変更。ロキソニンはロピオン注へ変更し疼痛コントロール継続する。
寝たきりの状態だが日中は開眼し会話をすることができる。安静にしていれば痛みは無いものの、日常生活援助の際に体を動かすと苦痛様表情あり。本人も鎮痛薬の再考の希望あり。
プラン→アセトアミノフェンとロピオンの点滴は継続したままプレぺノン注による疼痛コントロールを開始する。
いかがでしょう。かなり簡潔に鎮痛薬の増量について書いてみました。疼痛コントロールは患者さんの数だけ方法があると言われるように、この限りでは全く無いのですが、一般的な流れについてはこれで良いと思います。これをベースに患者さんと相談しながら検討していけると良いのではないかと思います。
ソセゴンについて
ここで疼痛コントロールについて語ったからにはぜひ知っておいてほしい知識が2つ!これは絶対に知っていて損は無いので最後まで読んでね!!
ソセゴンという薬剤を聞いたことがありますか?分類としてはこれは向精神薬にあたるもので、病棟では麻薬と同じく金庫で管理する薬剤です。このソセゴンと言う薬剤ですが、非常に強い鎮痛作用を持っています。あの死を覚悟させるという狭心症発作による疼痛ですらすみやかに抑えるほどの強い作用があります。血液内科の先生はロキソニンをあまり使いたくないので、(ロキソニンによる腎障害を避けたいことと、ロキソニンによる血小板減少のリスクがあるから)アセトアミノフェンで鎮痛できない痛みにはソセゴンを使うようにという指示が出されることが多かったです。ただこのソセゴンという薬剤ですが、中毒性があるんです。私も数人ですが経験があるのですが、ソセゴンを使って疼痛コントロールをしていたら、患者さんから「痛くはないけど、あの点滴をやって欲しい。楽になるから」とはっきり言われた経験があります。ソセゴンは必ず中毒を起こすということは無いですが、頭の片隅にソセゴン中毒の存在を置いておいてもらえると役に立つ時が来ると思います。
もう一つソセゴンについて大事な知識!!ソセゴンと医療用麻薬は併用禁忌です!つまりアセトアミノフェンやソセゴンを使っていても疼痛コントロールが不良の場合、医療用麻薬を開始することになりますが、医療用麻薬を開始してからはソセゴンは使ってはいけません!これ絶対に覚えておいてね!!なぜダメかと言うと、お互いに作用を打ち消しあってしまうからなんです。なので医療用麻薬を開始したらソセゴンはダメ!これは必ず覚えてくださいね!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回もかなりボリューミーな内容になってしまいました・・・。ですがかなり大事なことをたくさん書きました。新人看護師さんにとっても、看護学生さんにとってもかなりためになる知識かなと思うので、ぜひ繰り返し読んで知識習得してくださいね!!疼痛コントロールを理解した次は医療用麻薬②を更新予定です!医療用麻薬の増減の仕方や看取りの時の医療用麻薬の使い方について、私が経験してきたことをお話しできればと思っています!!
質問、ご意見なんでもどうぞ!下のコメント欄を利用してもらっても良いですし、mailto:caiping60@gmail.comまで直接メールをくださっても大丈夫です!お待ちしてます!!