毎日これでもかってくらい暑いですが、みなさん元気にしていますか?
涼しいお部屋で解剖生理の勉強をすると楽しいよ~(笑)(笑)
今日もはりきって国家試験対策をしましょう!!
今日は輸血のお話パート2!!輸血の副作用についてです!
国家試験対策にもなるけれど、新人看護師さんにも知っておいてもらえると良いなってお話になってます!!
輸血の基本中の基本については過去の記事をぜひぜひ読んでくださいね!!
輸血とは
そもそも輸血って何?って思っている人いるよね!
輸血って何って言われたら・・・血だよ血!!血を点滴で入れてあげること!
ちょっと簡単に言い過ぎたけれど、他人の血を取り出して赤血球とか血小板とか成分別に分けて必要な人に投与するというのが輸血です!
当然他人の血液を入れるので、いくら血液型を合わせていたとしても、体にとっては他人の細胞が入ってくるわけだから免疫反応が起きます。
ちなみに余談ですが・・・輸血のお値段知ってます?
ざっくりとだけどね・・・5万円くらいするんだよ!1パックで!!
物によっては10数万円するものもあるんだよ!!!1パックで!!
なので病棟勤務時代にさんざん言われました・・・輸血バックを破損したり不潔にしたりして使えなくなったら給料ぶっ飛ぶよ!!って!!それくらい高価なものっていうのも知っておいてね!!
輸血の副作用
体の中に自分のものでは無いもの(細菌・ウイルス・輸血・人工骨など)が侵入してくると、体の中の免疫が異物に対して攻撃をします。これが免疫反応です。
だけれど輸血をするときというのはある程度緊急性のあるときなので、その免疫反応が出たとしても、輸血をしたほうがメリットがあるときです。
輸血の副作用で代表的なもの
・血圧低下
・呼吸困難
・蕁麻疹
・発熱
などがありますが、重要なのは血圧低下と呼吸困難です!なぜかというと命に関わる重大な副作用だからです。ですが輸血投与時にかなりの頻度でみられるのは実は蕁麻疹なのです!!
私は血液腫瘍内科で10年近く看護師をしてきましたが、蕁麻疹の副作用は数えきれないくらい経験しました。血圧低下の副作用は、私の勤務中では無かったですが、勤務する病棟で1件症例報告がありました。(もちろん対処が速かったので命に別状は無かったです!!)呼吸困難は全く経験が無いです。
副作用の発生頻度というのは肌感覚でこんな感じ。なので輸血をすれば副作用は起きるかもしれないなという心構えで輸血を行って欲しいです。
もう一つ輸血を語るうえで伝えたいこと!!
輸血の種類によって起きる副作用に特徴があります。
私が経験した蕁麻疹ですが、すべて血小板輸血で起きています。症例報告のあった血圧低下は赤血球輸血で起きています。
つまり血小板輸血は副作用が起きやすく、そのほとんどが蕁麻疹として現れる。
赤血球輸血はあまり副作用は起きないけれど、起きた時には血圧低下などの命に関わる副作用が起きる
といった特徴があります!!
これは根拠がある程度あって、血液製剤を作るときに赤血球輸血を作るときは白血球の成分が混入してしまうことはほとんど無いけれど、血小板輸血を作るときには白血球の成分が混入してしまうことが多いらしい!なので血小板輸血では副作用が起きやすいのです!
ちなみにちなみに、輸血で副作用がよくでてしまう体質の人には洗浄血小板輸血なるものが存在します!これは通常の血小板製剤を特殊な方法で洗浄することで、混入してしまった白血球の成分を除去しているもの!通常の血小板よりも白っぽい色をしているのが特徴です!!
かなーりマニアックな話もしたけど輸血の副作用について理解はできたかな?
副作用への対処方法
輸血の副作用についてしっかり理解できたところで、どのように対処する必要があるのかを解説していきます。
まず緊急性の高い副作用(血圧低下、呼吸困難)ほど投与直後に起きやすいです。投与中盤だったり終わり掛けにかけて起きやすい副作用が蕁麻疹です。
なので輸血を投与する時には投与開始をしてから5分間は患者さんのそばから離れません!!
ゆっくり輸血を投与開始して(投与ペースに関しては院内のマニュアルがあるはずなのでここでは触れないでおきます)万が一患者さんが異常を訴えるようなら即輸血を中止します。クレンメを止めて三方活栓を回せると良いですね。単独ラインで投与しているならばクレンメを止めましょう。顔色が悪い、ぐったりしている、呼吸困難を訴えるなど明らかな異常の場合は緊急呼び出しコール(私の病院ではスタッフコールと呼んでいた)を押して応援を呼びます。自分は患者さんのそばから離れてはいけません!!バイタルサインを測定しながら応援を待ちます。患者さんの訴えが、なんとなく動悸がするとか、喉が少し違和感があるような?くらいの訴えならばナースコールで応援を呼ぶでも良いと思います。いずれの場合も最初の5分で副作用が起きているので、この場合は医師の判断を仰ぐのがベストです!!看護師だけで、症状が軽減したから輸血を再開する判断をしたり、副作用が出たから輸血を破棄するなんて判断は絶対にしてはいけません!!医師の指示を仰ぎましょう!!
最初の5分が何事もなく経過すれば、患者さんに副作用が起きるかもしれないから、違和感を感じたらナースコールしてねと説明して、患者さんのそばを離れても良いです。
次に患者さんのもとを訪室するのは輸血開始後15分後です。ここで何も副作用がみられなければ、はじめて輸血の投与ペースを速めることができます。(投与ペースに関しては院内のマニュアルに従ってくださいね)
これ以降は院内マニュアルでも適宜訪室とかなり曖昧な表現がされているのではないでしょうか。我々看護師も忙しいのでね・・・なかなか頻回に訪室するのは難しいし、患者さんからしても、ずーっと看護師がいるのもうっとうしいですからね・・・。私がどうしていたかというと30分~45分くらいで訪室してました。これは患者さんによると思うのですが、患者さんが自分でナースコールができるしっかりした人なら訪室頻度は少なくて良いけど、意識レベルが低い人や小児の場合は30分も間をあけてはいけないですよね。この辺りは臨機応変な対応をしましょう。
なぜ輸血の投与中に何度も訪室する必要があるのか。輸血開始直後の重症副作用が起きなくとも、蕁麻疹はいつ出現するか分からないからです。しっかりしてる患者さんでも、顔とか背中とか見えにくい場所に蕁麻疹ができていると、患者さん自身も発見が遅れて、痒みが出てきたときには全身に蕁麻疹が広がっているなんてこともあるので、やはり看護師による観察がとっても大事になってきます!!
蕁麻疹の副作用が出てきたときでも対処方法は先ほどと同じです。クレンメを止めて投与を中止しましょう!バイタルサインに異常が無いか確認します。バイタルサインに異常が無ければ看護師の判断で対処していきましょう。対処の方法は病院によってさまざまだと思いますが、私の働いていた病院のやり方を紹介しますね。
異常時指示の中に輸血副作用時に使える主治医からの指示が入っていて、看護師の判断で薬剤投与ができるようになっていました。輸血の副作用が出たということは、免疫反応が起きているので、暴走している免疫を抑えてあげる必要があります。なので副腎皮質ステロイドを投与すればだいたいアレルギー反応は抑えてあげることができます。私が働いていた病棟では輸血副作用時にはソルコーテフ100mgを静脈内注射するよう指示が出ていました。そしてこのソルコーテフですが、血小板輸血を行う前投薬としても使われていました。それだけ血小板輸血は副作用が出やすいのだということがよくわかりますね!!ソルコーテフは6時間以上間隔をあけないと使用できなかったので、ソルコーテフ投与→血小板投与開始→蕁麻疹となってしまうと、ソルコーテフは使用できません。なのでもう一つ輸血副作用時に使用できる指示が「ポララミン1A+生理食塩液50mlを30分かけて点滴静脈内注射」というものでした。このポララミンという薬剤は抗ヒスタミン薬で、かゆみ止めとして使われることが多い薬剤です。蕁麻疹にもよく効く薬剤なので輸血副作用出現時にはよく使います。
ソルコーテフもしくはポララミンを使って蕁麻疹の症状がおさまると輸血の投与を再開することができます。蕁麻疹はとってもかゆいので、薬剤投与をするだけでなく、アイスパックなどをお渡ししてクーリングも併せて行えると良いですね!!
重症副作用の場合は医師の指示のもと別の薬剤が使われることが多いのですが、看護師の判断で行えるのはこれくらいだと思います。ですが、輸血の副作用を観察し適切な対処ができるというのは看護師であれば当たり前にできて当然のことです!!しっかり知識として覚えておきましょう!!
何ども繰り返してしまいますがここに書いてあるのは一般論的なことなので、院内の共有マニュアルにのっとって対処をしてくださいね!!どの病院でも必ず輸血マニュアルはあります!
自己血輸血
あまり聞きなれないかもしれないですが、自己血輸血なるものがあります。文字通り自分の血液を輸血することです。自分が健康な時に自分の血液を採っておいて、術後など血液が足りなくなったときに輸血してあげるというものです。骨髄バンクドナーさんが骨髄を提供する前に自己血を採っておいて、骨髄採取術が終わると自分の体に血液を戻してあげるという感じで行われていました。当然自分の血液なので副作用がおきることはよっぽどありません。
血液型不適合輸血
最後になりましたが、多くの看護師さんが恐れるのはこれではないでしょうか。間違った血液型の輸血を行うと、ほぼ間違いなく患者さんは亡くなります。ごく微量の血液型の異なる輸血が体内に入っただけでも、すぐに溶血を起こして命に関わる事態になります。輸血に限ったことではないですが、患者さんへ投与を行うときにはWチェックは必須ですし、輸血に関して言えば、医師と看護師とでWチェックが基本ですのでこれはしっかり守りましょう!
マニアックな元血液内科看護師からの余談ですが・・・血液型不適合でも安全に輸血が行えることがあるんだな~~~~~これはいつか血液型不適合輸血と題して記事を作成しますね!!楽しみにしててくださいねっ!!
まとめ
輸血の副作用についてお話ししましたがいかがでしたでしょうか。
輸血=怖い、リスク、事故といったネガティブイメージから、少しは良いイメージに近づけたのではないかと思います。
輸血は現場でもよく扱うものですし、かならず必要な知識です!!血液内科で働くならば必須の知識です!なので学生のうちからしっかり知識を習得しましょう。そして新人看護師さんたちも、輸血は扱わないから知らなくて良いやではありません!!緊急時ほど輸血が登場する頻度は高いです!普段扱わないからこそ、知識として習得しておきましょう!
質問、ご意見なんでもどうぞ!mailto:caipingye60@gmail.comまでお気軽に連絡くださいね!